むし歯治療(メタルフリー)
長く天然の歯を大切に保っていただきたいという観点から、なるべく「削らない」「神経を取らない」「抜かない」ていねいな治療を心がけ、どうしても削らなければならない場合はできるかぎり削る箇所に配慮した治療を心がけています。
どうしても削ったり抜かなければいけない場合は、染め出し液を使ってマイクロスコープで見ながら削り、削る範囲を抑えながら細菌を残さず取り除き、再発を予防する治療を行います。
また、金属の詰め物・被せ物はできるだけ使わず、見た目の美しさも配慮しています。
なるべく削らない・神経を取らない・抜かない、MI治療
当院では、「MI治療」を採用しています。
「MI」はミニマル・インターベンションの略で「最小限の侵襲」という意味です。
治療方法ではなく「なるべく歯を削らずに、今ある歯をできる限り残す」治療のコンセプトのことです。
マイクロスコープを使用した精密治療
当院では、より精密な医療を提供するため、治療の際にはマイクロスコープを使用しております。
マイクロスコープは肉眼の約20倍まで拡大して見ることができるため、今まで見えなかった患部もしっかり確認しながら治療できるだけでなく、治療の状況を患者様にビデオでお見せできます。
裸眼では見えにくいような細かな部分もマイクロスコープを使ってしっかりと確認しながら処置を行うことで、削りすぎを防ぐことはもちろん、削り残しも防ぎ、虫歯が再発してしまうリスクを低く抑えるよう尽力しております。
ダイレクトポンディング
とは、プラスチック(レジン)とセラミックを混ぜ合わせた素材をむし歯などを取り除いた後の歯に詰め、光で硬化させることで天然歯のような色調・透明性を再現する治療法のことを言います。
むし歯治療の方法としては、「インレー」という、歯を削って型を取り、詰め物を作成するやり方が一般的ですが、この方法の場合、型を採るために歯を余分に削る必要があるということ、また、少なくとも2回以上の通院が必要となり、治療に時間がかかるというデメリットがありました。
ですがダイレクトポンディングの場合詰め物を直接詰める方式のため、歯を削る量も最小限に、最短1回の治療で終了することもできます。
また、ダイレクトポンディングに似た方法として「CR充填」というものもあります。
CR充填法の場合、単純にむし歯によってできた穴や隙間をプラスチックで塞ぐだけですが、ダイレクトポンディングは何層もに重ねながらレジンを盛っていくため、審美的にも美しく、耐久性に優れた治療が可能です。
う蝕検知液
う蝕検知液とは、虫歯になっている部分のみを染め出すことができる薬剤です。
虫歯治療を行う上で何よりも大切なことは、虫歯に感染した部分を取り残しなくしっかりと除去することですが、いくらキャリアのある歯科医師でも健全な歯と虫歯の部位を完璧に見分けることは不可能で、歯を残すことを意識しすぎるがあまり虫歯の除去が不十分だったり、時には健康な歯までも削ってしまう事もあります。
そこで当院では、必要に応じてう蝕検知液を使用して虫歯部分を染め出し、しっかりと目で確認しながら虫歯の取り残しや歯の削りすぎを防ぐように努めています。
神経はなるべく保存します
歯の寿命は神経が残っているかどうかで大きく変わってきます。
当院では、様々な薬剤を用いて、できるだけ神経を残す治療をしております。
深い虫歯でも、できる限り残します
虫歯が進行し、根っこの部分しか歯が残されていない状態になってしまうと、一般的には抜歯が必要と判断されます。それは、歯のふちが歯茎の中に埋まってしまっている状態では適合性の良い被せ物が作れなかったり、また無理やり作ったとしてもすぐに根っこが割れてしまい、すぐに抜歯が必要になってしまうからです。
ですがそのような場合でも、「歯のふちを歯茎より上に持ってくる処置」を行うことが出来れば、歯を残せる可能性は十分にあります。
歯のふちを歯茎よりも上に持ってくる処置については、主に「歯冠長延長術(クラウンレングスニング)」という方法と、「矯正的挺出(エキストルージョン)」という方法がありますが、症例によってどちらの方法を選択すべきか、もしくは両方を併用すべきか、見解が異なりますので、まずは歯科医師にご相談ください。
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
歯の周りの骨を削って歯茎を下げることで、歯のふちを歯茎より上に出していく処置です。
歯茎が下がってしまうという問題点もありますので一般的には奥歯の治療で用いられることが多く、前歯で行う際は下記の矯正的挺出(エキストルージョン)と併用して行うことがほとんどです。
また、一般的にクラウンレングスニングを行った場合は根面カリエス(露出した歯の根っこの部分にできる虫歯)になりやすいと言われておりますが、適合の良いかぶせ物でしっかりと覆ってあげることでそのリスクも下げることができます。
とはいえ、まったくリスクがないわけではありませんので、定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受けるとともに、術後の経過観察をしてもらうようにしましょう。
矯正的挺出(エキストルージョン)
部分的な矯正で歯を引っ張りあげてることで、歯のふちを歯茎より上に出していく処置です。歯茎を傷つける事がありませんので審美性を保つことができます。
歯を引き上げるための装置を一定期間口の中に装着しなければいけませんので、治療期間が長くなってしまうという問題もありますが、治療期間中は仮歯をいれて見た目に支障がないよう配慮いたしますので、普段通りの生活を送っていただけるかと思います。
ただし、治療後も引っ張り出した歯が戻らないように固定する期間が必要ですので、治療スケジュールについて担当の歯科医師としっかりと確認するようにしましょう。
むし歯の進行と治療方法
むし歯には5つの進行段階があります。
痛みや腫れを感じるのであれば、かなり進行していると考えてよいでしょう。
ご自身の状態を確認して、少しでも症状が現れていればすぐにご相談ください。
CO(Caries Observationシーオー:初期むし歯)
症状
穴が開いたり黒くなっていないので見た目でわかりにくいですが、すでに歯が溶け始めています。
治療
フッ素入りの歯磨き剤でブラッシングし、再石灰化させることで治せます。
ブラッシングの方法は歯科医師か歯科衛生士の指導を受けましょう。
C1(エナメル質う触)
症状
酸によって歯の表面のエナメル質が溶け、小さな穴ができた状態です。
この酸は、お口の中の細菌が作り出します。
痛みを感じないため、放っておくと症状がどんどん進行してしまいます。
鏡で見たり舌で触ったときに違和感があったら、すぐに診察を受けましょう。
治療
むし歯になって穴が開いている部分を削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めます。
C2(象牙質う触)
症状
エナメル質の下部にある象牙質までむし歯が広がった状態です。
冷たいもの、甘いものがしみて痛みを感じます。治療には麻酔が必要です。
治療
むし歯の範囲によって変わります。
小さければむし歯を削ってレジンを詰めます。
範囲が広がっている場合は、麻酔をしてむし歯を取り除かなければなりません。
治療後は被せ物を作って装着します。
C3(神経まで達したう触)
症状
神経までむし歯が広がっている状態です。
ここまで進行してしまうと、温かいものでもしみたり、噛んだときに激しい痛みを感じることがあります。
膿が出たり歯ぐきが腫れます。
治療
麻酔をして神経を取り除き、根管治療(根の中を掃除してきれいにしてから薬を入れ、被せ物を装着する治療)を行います。
C4(残根状態)
症状
歯が溶けて根だけが残っている状態です。
神経が全滅して痛みを感じにくい場合がありますが、痛みを感じないからといって放っておくと顎の骨まで溶けてしまう可能性があり危険です。
治療
歯質が治療できるくらい残っていれば根管治療を行いますが、残っていない場合は抜歯するしかありません。
抜歯後は、インプラントや入れ歯、ブリッジなどを使用して歯を再生します。