精密根管治療
マイクロスコープ・歯科用CT・ニッケルチタンファイル・MTAセメント・ラバーダム防湿を用いた精密根管治療
統計によると、日本の保健治療における根管治療の5年間の成功率は50%以下であることが報告されています。
一方、米国の専門医による根管治療の成功率は約80%です。根管治療の繰り返しは歯の強度を低下させ、根の破折による抜歯につながる最大の要因の1つです。
世界的には、根管治療の成功には歯科用CTによる診断や歯科用マイクロスコープの使用、ニッケルチタンファイルの使用、ラバーダムによる防湿法を用いた無菌的治療が必要であり、根の内部を消毒した後、再感染を防ぐための根管充填にはMTMセメントが最も適していることが知られています。
しかし、日本の保険治療ではこれらの要件を満たした治療を提供することができない現状があり、結果として保険治療では成功率が低い旧来の手法の根管治療が続けられています。
当院では、根管治療の再発や歯を失うリスクを最小限に抑えるために、上記の要件をすべて満たした精密で成功率の高い手法の根管治療を提供しています。
他院とは異なる、歯を守り抜くための当院のこだわり精密根管治療の流れ
ステップ1: レントゲン・CT撮影による正確な診断と治療計画
ステップ2: 既存構造物(クラウン・メタルコアー)の安全な除去
除去でも歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)が必須です。
根の治療をするには、すでに薄くなってしまっている健康な歯質の削除を最小限にして、金属製の既存の構造物を安全かつ確実に削り取る必要があります。
肉眼での除去作業では金属と歯質の境界を正確に確認できないため、多くの健康な歯質も削り取られてしまうことがあります。
歯は多く削れば削るほど強度が落ち、寿命が縮まります。
すでに根管治療を受けている歯は多くの歯質を失っているため、この処置をいかに精密に最小限の削除で行うかが、その歯の一生を左右します。
そのため、除去にもマイクロスコープの使用が必須です。
ステップ3: ラバーダム防湿
健康のための歯科治療にはラバーダム防湿法が必須である2つの理由
1. 有害な微細金属粒子の飛散防止
金属を削ると有害な微細な金属粒子が多量に飛び散ります。
これらを患者様が飲み込んだり粘膜に吸収させないように、ラバーダム防湿が必須です。
残念ながら、多くの歯科医師は飛散する金属粒子の有害性を認識していません。
そのため、一般的にはバキュームという通常の吸引器のみを使用していますが、ラバーダム防湿を使用しない治療では、知らないうちに大量の金属粒子を飲み込んでいる可能性があります。
2. 根の病巣の原因となる細菌感染の防止
根の病巣の原因は唾液中の口腔内細菌による感染です。ラバーダム防湿を行い唾液から隔離した状態で、無菌的な器具を使用して再治療を行わないと、根管治療は成功しません。
ラバーダムを使用しない治療は無意味で、無駄に歯を弱くするだけです。
世界的にも根管治療にはラバーダムを使用した無菌的治療が必須であることは研究でも明らかになっており、ラバーダムを使用しない根管治療は治療とは言えません。
ステップ4: 金属を除去した部分のレジンによる補強と仮歯の作成
一般的には構造物を除去したままの状態で根の治療が進められますが、構造物を除去したままの歯質は非常に弱く割れやすい状態で危険です。
柱や壁をぶち抜いた修理中の住宅に住んでいるようなもので、そのままでは食事が不自由なだけでなく、噛んで破折してしまい抜歯のリスクもあります。
また、歯は隙間があると移動してしまうため、その歯だけでなく他の歯の移動による噛み合わせの不具合や歯列不正の原因になります。
当院ではすべての症例で、薄くなった歯質の細菌に汚染された部分を完全に除去した後、樹脂(レジン)で補強し、土台(隔壁)を作成します。
さらに強度を増し、歯の移動を防ぐために仮歯を作成します。根管治療は仮歯を装着した状態で上部に穴を開け、その部分から治療を進めます。
ステップ5: 根管内部の根管充填材の除去・清掃、殺菌消毒(1~3回)
ステップ6: MTAセメントによる根管充填
ステップ7: ファイバーコア作成・セレックシステムによるクラウン作製
ステップ8: 経過観察(1年経過後のCT撮影など)
さらなるこだわりポイント
歯科治療は外科手術と同じで、医科ではメスは使い捨てが常識です。歯科治療にとってドリルはメスと同じです。
当院では、全ての治療で一般的には滅菌して使い回される歯を削るドリルを全て使い捨てにしています。
使い捨てにすべき理由
歯を削るドリルの先は外科医のメスと同じです。常に切れ味の良い新品を使用することで、精密で正確な形成が可能であり、歯にもダメージを与えません。
高速で回転するドリルは通常でも発熱を伴いますが、劣化するとさらに発熱量が増加し、ドリルが高温になり、歯質や周囲組織を劣化させてしまいます。
信じられないかもしれませんが、皆様のお口の中で歯を削るドリルは、当院以外のほぼ100%の歯科医院で滅菌されて使い回されています。
私自身、たとえ滅菌消毒されていたとしても他人のお口の中で使用されたドリルを自分の口に入れたくないので、心理的な理由からも毎回新しいものを使用しています。