親知らずの抜歯後に起こる神経麻痺(シビレ)について
2024/11/30
こんにちは。東京(外苑前)の自由診療専門歯科医院、サウラデンタルクリニック青山です。
「親知らずを抜いた後から、顎がしびれたままなんです」
「唇や舌の感覚が変で、何となくおかしい気がします」
このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。
抜歯後のしびれや違和感があると、とても心配になりますよね。
実は、ほとんどの場合、このような症状は抜歯時の麻酔や手術による一時的なものです。
数時間から数日、長くても1~2週間で自然と良くなることがほとんどですので、安心してください。
ただ、もし2週間以上経っても改善しない場合は、神経麻痺(しんけいまひ)といった別の原因が考えられます。
特に下の親知らずを抜いた後、この症状が出ることがあるため、必要に応じて診察を受けることをお勧めします。
神経麻痺(しんけいまひ)って何?
神経麻痺とは、抜歯の際に近くを通る神経が傷ついたり、圧迫されたりして、その神経が関係する部分(下顎や唇、舌など)に「しびれ」や「感覚の異常」が出てしまう状態です。
親知らずの周りには大事な神経が通っています。
その中でも特に影響を受けやすいのが、下顎の中にある下歯槽神経(かしそうしんけい)という神経です。
この神経が傷ついたり圧迫されると、以下のような症状が出ることがあります
下顎に関係する主な神経と麻痺の種類
下歯槽神経(かしそうしんけい)
下顎の骨の内部を通り、下顎の歯や唇の感覚を司る重要な神経です。これが傷つくと以下の症状が出ます。
下顎や下唇のしびれ
下顎の感覚異常
舌神経(ぜつしんけい)
舌の感覚や味覚を担う神経です。これが傷つくと以下の症状が出ます。
舌のしびれ
味覚の低下や喪失
オトガイ神経(おとがいしんけい)
下顎の先端から唇の部分を支配する神経です。これが傷つくと以下の症状が出ます。
下唇の一部の感覚異常
これらの神経は親知らずの抜歯の際に影響を受けやすく、特に神経に近い位置に親知らずが埋まっている場合、麻痺のリスクが高まります。
神経麻痺が起こる原因について
親知らずの抜歯で神経に影響が出る原因には、いくつかのパターンがあります。
以下に分かりやすくご説明します。
神経が傷ついてしまった場合
親知らずの根っこが神経にとても近い場合、抜歯のときに神経を傷つけてしまうことがあります。
損傷には以下のようなケースが考えられます
親知らずを無理に引き抜くことで、神経が引っ張られる
歯の根が神経を押しつぶしてしまう
神経の位置を正確に把握せずに治療を進めてしまう
抜歯後の腫れや血の塊による圧迫
抜歯した後、傷口が腫れたり、血が固まって塊になったりすることで、近くの神経が圧迫されてしまう場合があります。
この場合は一時的なものであることが多く、腫れや血腫が収まると改善することがほとんどです。
炎症が神経に影響した場合
抜歯後の傷口が炎症を起こすと、近くの神経にその影響が及ぶことがあります。
感染などで炎症が強くなると、しびれや違和感が強まることもあります。
親知らずが神経に近い場合(解剖学的な理由)
個人差がありますが、親知らずが神経に非常に近い場合があります。
こればかりは「生まれつきの構造」ですので、抜歯前にCTやレントゲンを撮影して確認することがとても重要です。
神経麻痺が起きたときの症状
神経麻痺が起こると、以下のような症状が現れることがあります。
感覚の変化
顎や唇、舌が「ビリビリ」「じんじん」としびれたように感じる
触った感覚が鈍い、あるいは全く感じない
唇や舌が動かしにくくなり、食べ物をうまく扱えなかったり、話しづらく感じることもあります
痛みや過敏な感覚
軽く触れるだけで痛みや不快感を覚えることがあります
ビリビリとした神経痛のような鋭い痛みを感じる場合もあります
味覚や温度の異常
舌の味覚が鈍くなったり、味が感じられなくなる
冷たいものや熱いものに過剰に反応して、痛みや違和感を覚える
神経麻痺を防ぐために当院ができること
抜歯時に神経麻痺を防ぐためには、事前の診断と慎重な治療計画がとても大切です。
当院では以下の方法で、神経麻痺のリスクを最小限に抑える取り組みを行っています。
事前の精密診断
通常のレントゲンだけでは親知らずと神経の位置関係を正確に把握することが難しいため、歯科用CTを使って立体的に診断しています。
これにより下記の状態や内容を正確に把握し、安全な抜歯計画を立てることができます。
親知らずが神経にどの程度近いか
歯の埋まり方や根っこの形
骨の状態や抜歯の難易度
専門的な抜歯技術
神経に近い親知らずは、ただ引き抜くのではなく、歯を少しずつ分割して丁寧に取り除く分割抜歯法を採用しています。
分割抜歯法は、特殊な器具を使い、親知らずを慎重に小さなパーツに分割してから歯を一部ずつ慎重に取り除く方法です。
歯全体を一度に引き抜こうとすると、神経や周囲の骨への負担が大きくなります。
そのリスクを軽減するため、小さくしてから取り出します。
術後の痛みや腫れも軽減され、抜歯後の回復が早い他、歯を細かく分割することで、神経や血管にかかる圧力を抑えることができます。
抜歯後の丁寧なケア
抜歯後の腫れや炎症を最小限に抑えるため、適切な冷却や薬物療法を指導しています。
万が一しびれが続く場合も、適切な対策を早期にご案内しますのでご安心ください。
術後の薬の処方について
抗生物質:感染を防ぐために処方されることが多いです。
鎮痛剤:痛みがある場合、患者さんに合わせた適切な痛み止めをお渡しします。
薬の使い方についても丁寧にご説明しますので、分からないことがあればいつでもご相談ください。
もし神経麻痺が起きてしまった場合
しびれや違和感が続いても、軽度のものであれば、数週間から数か月の間に自然に回復することが多いです。
ただ、症状が重い場合や改善が見られない場合には、以下のような治療を行うことがあります。
薬による治療
ビタミンB12や抗炎症薬などで、神経の回復を助けます
物理療法(マッサージや鍼灸)
血流を促進し、神経機能の改善を図ります
神経ブロック療法
神経の過剰な刺激を抑え、痛みやしびれを軽減する治療法です
まとめ
親知らずの抜歯後にしびれや違和感が出ると、不安になってしまいますよね。でも、ほとんどの場合は時間とともに良くなります。
私たちも、患者さんが安心して治療を受けられるように、一人ひとりに寄り添いながら診療を行っています。
不安なことや心配な症状があるときは、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に解決していきましょう!
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