根の治療とは?根尖病巣
根尖病巣とは、神経を取った歯の内部で細菌が増殖して起きる疾患です。
虫歯が深なりすぎると歯の内部の歯髄細胞に強い炎症を起こして激しい痛みに襲われます。
このような際には歯の神経を取る処置が必要になります。
神経を取った歯は血流が失われる為、免疫力がない場所になり一旦内部で細菌が増殖してしまうと治療をしない限り感染が止まりません。
この細菌が根の先から骨内に出ると炎症反応が起き、根尖病巣ができます。
多くの場合無症状ですが急性化すると腫れたり痛んだりする事もあります。上の奥歯では根の先は副鼻腔に近く、歯が原因で副鼻腔に炎症が起きることもありこれを歯性上顎洞炎と呼ます。
根の治療の5年成功率は日本の保険治療の統計では約60%前後と再発しやすく、この治療を繰り返すと根が弱くなり、ひびが入り抜歯になることが多いのも特徴です。
根尖病巣の細菌は容易に骨内の血管に侵入し心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化を促進したり、肝臓や腎臓など離れた臓器で感染を起こす事があることがわかっています。
心筋梗塞を起こした心臓の血管から除去された血餅からも、高頻度に口腔内細菌が検出されます。
この根尖病巣は進行しないと歯科用レントゲン写真には映りませんので、早期発見には歯科用のCT撮影による診査が必要です。
病巣が出来ないように治療するには、神経を取る治療の際にラーバーダム防湿という手技で唾液から隔離して無菌的に治療行うことが理想です。
また、根の内部の形態はとても複雑ですので、マイクロスコープと言う歯科用の顕微鏡を用いて内部を拡大して見ながら精密に治療したり、根の内部に詰めるお薬をMTAセメントと言う最新材料にする事で病巣の発症リスクや再発リスクは減らせますが、このような治療は現在のところ健康保険ではカバーされていませんので、歯を長持ちさせるには自由診療での治療を視野に入れることも必要です。
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